宗旨
1.宗名「浄土真宗」
宗名の由来はさまざま
仏教各派の宗名には、さまざまな付け方があります。例えば「天台宗」であれば「天台山」という地名もしくは「天台大師」という人名から、「日蓮宗」であれば「日蓮聖人」という人名から、「華厳宗」であれば『華厳経』という経典の名称から、それぞれ宗名が付けられています。
これらに対し、「浄土真宗」は、教えの内容をあらわした名称なのです。
「浄土真宗」という言葉の意味
浄土真宗とは、往生浄土の真実の教えという意味です。親鸞聖人が浄土真宗という言葉を使われるとき、『大経』をさしている場合や、第十八願のすくいをあらわしている場合などがあります。意味がいくつもあるように見えますが、往生浄土の真実の教えが説かれている経典は『大経』ですし、『大経』の中心は第十八願のすくいなのですから、根本的には同じことをあらわしています。
浄土宗と浄土真宗
親鸞聖人の師である源空聖人は、浄土宗を開かれました。それを聞くと、「浄土宗と浄土真宗はどちらが正しいのか」という疑問が出てくるかもしれません。しかし親鵞聖人にとっては、源空聖人が開かれた浄土宗がそのまま浄土真宗でした。そもそも比較するようなことではなかったのです。
また「真」の字には、自力が一切まじっていないという意味もあります。煩悩に満ちた私が自力で作ったものは、真実とはいえません。浄土真宗は、そのような真実ではない自力を一切まじえず、ただ仏さまの本願力、すなわち他力という真実だけをたねにして浄土に往生する教えなので、「浄土真宗」というのです。